福利厚生というと従業員の満足度を上げるための施策ですが、
やり方によっては企業にとって現実的なメリットがある施策に変えることができます。
もちろん、従業員満足も立派に企業にとってのメリットですが
直接的に経費削減という形で寄与することができる方法があるのです。
今回はそのご説明をさせて頂きます。
その方法とは「借り上げ社宅」です。
また借り上げ社宅?とお思いの方もいらっしゃると思います。
前回、住宅手当を支給している企業に現金支給の代わりに借り上げ社宅で家賃を一定額負担する方がお得だという話をしました。
↓前回の記事↓:住宅手当より借り上げ社宅の方がメリットが大きい理由
https://ws-homebase.com/ws/従業員満足/kariage-syataku
今回は家賃を一定額負担せずに経費が削減出来るという言わば攻めの福利厚生の施策の話になります。
わかりやすく説明しましょう。
前回と同じく
・給料30万円
・家賃は10万円
の例でご説明したいと思います。
今回は家賃補助は関係ないという前提です。
【社員側から見た視点】
まず自分で家賃を支払う場合ですが
給与の額面30万円から社会保険料(27,273円)所得税(8,420円)が差し引かれて支給されます。
※便宜上この2つに絞ります
つまり手取り額は264,307円になります。
その手取り額から家賃の10万円を支払うと残る金額(可処分所得)は一気に減り
164,307円になります。
次に借り上げ社宅の場合はどうなるでしょうか。
そのまま、法人契約に変えただけでは何も変わりません。
少し変則的な借り上げ社宅です。
では解説します。
まず当然ながら会社(法人)が契約しますので、会社が10万円の家賃を大家さんに支払います。
そして、会社が家賃を支払う代わりに
本人から家賃の一部を社宅費として徴収し、さらにその社員の給料を一定額「減額」します。
仮に5万円減額して
30万円ー5万円で25万円の給与にします。
そして従業員の社宅費を5万円に設定します。
そうすると…
前回説明した通り、給与額を基準にして社会保険料・所得税は計算されます。
つまり、25万円の給与額を基に保険料・所得税は計算されますので30万円の給与の時より当然安くなり
保険料は23,636円、所得税は6,530円
それらを差し引いた手取り金額は219,834円
そこから本人負担の社宅費5万円を給与から天引きします。
すると、、社宅費を支払った後に手元に残る金額は219,834円ー社宅費5万円=169,834円となります。
個人契約で自分で家賃を支払った後に手元に残る金額(可処分所得)は164,307円
借上げ社宅の場合の可処分所得は169,834円
つまり169,834円ー164,307円=5,527円可処分所得が増えるのです!
給与を30万円から25万円に減額しても、このプロセスを行うと手元に残るお金は逆に増えるのです。
では、もう一方の視点、会社側から見るとどうでしょうか。
10万円の家賃の負担が大きいと思うかもしれませんが
給料を下げることで人件費が5万円安くなり、さらに本人から社宅費5万円を徴収するので
相殺されて実質的には会社負担はなくなります。
ではプラスマイナスゼロでしょうか?
違います。
当然ながら会社負担の社会保険料も安くなるからです。
※社会保険料は会社と折半です。ここに記載されている金額は折半後の金額です。
【会社側から見た視点】
●給与30万円の場合の会社負担額は
30万円+保険料27,273円=327,273円
※便宜上保険料のみで計算します。
●給与25万円の場合の会社負担額は
25万円+保険料23,636円+会社支払い家賃10万円ー本人負担社宅費5万円=323,636円となり
327,273円ー323,636円=3,637円
3,637円負担が軽くなるのです!
つまり上記の例は
本人の手元に残るお金が5,527円増え
会社負担が3,637円軽くなる施策なのです。
さらに大きなメリットを出すこともできます。
金額を変えて一例をあげます。
前提は同じです。
・給与30万円
・家賃10万円
給与の減額幅を8万円に設定して比較してみます。
【社員側の目線】
個人契約の場合
30万―保険料27,273円ー所得税8,420円ー家賃10万円=手元に残るお金164,307円
(先ほどと同じ)
借上げ社宅の場合
30万円ー8万円減額ー保険料20,000円ー所得税5,480円ー社宅費※2万円=手元に残るお金174,520円
※社宅費の算出は、家賃10万円ー給与減額分8万円=社宅費2万円
このケースの場合
174,520円ー164,307円=10,213円
なんと1万円以上も手元に残るお金が増えます!
【会社側の目線】
個人契約の場合の会社負担
30万+保険料27,273円=327,273円
借上げ社宅の場合の会社負担
30万円ー8万円減額+会社負担保険料20,000円+会社支払い家賃10万円-本人負担社宅費2万円=320,000円
327,273円ー320,000円=7,273円のコスト削減です。
つまりこの施策は
現金支給を全くせずに
1万円以上も社員の手元に残る金額を増やし
7000円ほどのコスト削減につながるのです。
会社側から見ると負担どころかコスト削減効果がありながら住宅手当と同じ効果が得られるのです。
これが攻めの福利厚生の借り上げ社宅です。
こう言うと良いことずくめの施策のように感じるかもしれませんが、実はデメリットもあります。
長くなりましたのでデメリットについては次回に書き綴りたいと思います。
前回の借り上げ社宅の記事をご覧になりたい方はこちら↓
「住宅手当より借り上げ社宅の方がメリットが大きい理由」
https://ws-homebase.com/ws/従業員満足/kariage-syataku
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