今回は主に外食や小売りなどサービス業の採用の裏技について解説します。

言うまでもなくサービス業の人材不足による採用難が続いています。

理由は下記の要因があるといわれています。
1.少子化(若年層の絶対数の減少)
2.若年層の意識変化
3.ブラック企業を極端に恐れる風潮

そのような中、知名度の少ない中小の企業にとって採用の妙手はないのでしょうか。

いくつかあります。

その中で今回は「リファーラル・リクルーティング」という手法をご紹介しましょう。

リファーラルとは直訳すると委託、紹介などという意味になります。
採用用語としては簡単に言うと「個人的な紹介による採用活動」ということになります。
主に、既存の社員からの紹介という意味で使われています。

確かにメインの採用方法とは考えにくい手法ですが、やり方次第ではかなり効果的なのです。しかし意外に制度として行われていない企業が多いのです。

効果的な理由を二つあげます。

まず一つ目。
昨今の採用難の大きな理由として「ブラック企業を極端に恐れる風潮」があると申し上げました。通常の神経であれば知り合いをわざわざブラック企業へ誘うでしょうか。
求職者からみると実際に知り合いが働いている時点でブラック企業であるという懸念は払しょくされているのです。
アマゾンのリビュー機能に近いのかもしれません。
そういった意味では企業問題はクリアした段階で面接を行うことができまs。

次に費用対効果です。
採用広告からの応募や人材紹介会社からの紹介ですと、費用がかかります。
最近の傾向として採用単価も高まってきています。それが紹介による採用となると費用がかかりません。
しかも安心感を持って面接に来てもらえます。

以上が主に効果的な点に挙げられると思います。

そこで積極的にリファーラル・リクルーティングを活用している事例を紹介しましょう。

見せ方によってはかなりえげつないというかインパクトのある手法なので、そっくりそのまままねるよりは多少アレンジして行うことをお勧めしますが、実際にかなりの効果があったという実例です。

まず社員に積極的にリファーラル・リクルーティングを推奨する旨を告知します。

その際にインセンティブを払います。

社員の紹介から採用になった場合、紹介した社員には給料プラス20万円払うという大盤振る舞いです。
その会社では採用単価が一人60万円ほどかかっていたので20万円を社員に払ったとしても通常の採用よりは安く採用できるということになります。

さらに早期の退職されてしまった場合の対策として、入社時に紹介料10万円払い半年後に残りの10万円を払うことで少なくとも半年間の就業を全額支給の条件としています。

 

さらに他の企業の実例を話します。

社内にポスターを掲示して常にリファーラル・リクルーティングを行っている告知をしています。通常は紹介社員に15万円払うという条件なのですが、どうしても人材を急ぎで欲しい場合などは「今月限定で30万円!」という期間限定キャンペーンまで行っている会社もあります。

お金をばらまくというイメージを社内で持たれてしまうと、良くないので当然ながら見せ方の工夫は必要でしょうが。

会社としては社風や理念に共感できる人を採用するための最も効果的な方法は知っている人に伝えてもらうということです。
自社の社員がリクルーターとして働いてもらえるということは双方にとって非常に得する施策だといえるのです。

その他、意外に店内での求人募集ポスターの掲示なども効果的です。

よく言われていることですが、採用活動に近道はありません。

すでに聞いたことがあるような些細な事を地道に積み上げていくことで結果的に採用力は上がってくるのです。

【執筆者】
株式会社ワーススタイルホーム
法人営業部 責任者 阿部素成

1969年東京生まれ。2014年、法人向け福利厚生サービスHOMEBASEの立ち上げに参画。当サービスの企画・運営・戦略立案・顧客開拓などに携わる。過去の職歴は教育関連のBtoC営業からスタート。その後管理職となりマネジメント、採用、人材育成、組織構築を経て、2007年不動産事業系の賃料適正コンサルティング会社の立ち上げに参画。東日本トップシェアまで成長したのを期にベンチャー企業向け採用コンサルティング事業にて独立。主に若年者向けの人材育成など「人と組織」にかかわった業務に携わる。今回、個人向け不動産事業は未知の領域だが「採用と住まい」の視点で事業を作りこみ業務拡大し現在に至る。