顧客満足=CS(Customer Satisfaction)が大切だということは誰もが共通して持つ認識です。

当然です。ビジネスの基本中の基本です。

特にネットの普及した現代において、良からぬ噂は瞬く間に広がります。見せかけだけでなく本当の意味で顧客には満足していただく必要があります。

しかし、2年ほど前からもう一つの軸、従業員満足=ES(Employee Satisfaction)という言葉が注目を浴びるようになりました。

その背景には、ブラック企業という言葉に対する世間の関心の高まりと共に重要視されるようになりました。

某居酒屋チェーンがブラック企業の代名詞とされて、業績とブランド力を大きく落としたことは記憶に新しいことでしょう。
業績だけでなく深刻な問題は、採用に大きな打撃を受けたことがあげられます。

人材が不足する、少ない人員でオペレーションを回さなければならない、激務になり退職者が増える、接客の満足度が下がる、客離れ、業績が下がり閉店、という負のサイクルに陥ってしまったのです。
いくら給料の額を高くしても現在の若年者は必ずしも給料の額を仕事を選ぶことの判断基準にはしません。

このような状況になると客離れの前に従業員離れが深刻な状態になります。

そうなると立て直しは困難です。

さらにSNSなどの普及により社内の状況は、いとも簡単に社外に拡散されてしまいます。
いかにお金をかけて会社のイメージアップを図っても、実際に働いてみたらギャップがありすぎた。
その場合はそのギャップが赤裸々に社外に拡散される可能性があります。

見せかけの顧客満足が通じなくなったのと同じく、見せかけの従業員満足も通じない世の中になったのです。

タイトルには顧客満足と従業員満足どちらが大切かという二者択一的な感じを出しましたが、鶏が先か卵が先かと同じ議論で、もちろんどちらも大切なのです。

この双方の満足を追求できる会社が経営陣の腕の見せ所であり、これをなしえている会社が高い業績を出すことができるのです。

しかし、どちらを先に充実させるべきかという問いに対しては、今の時代、若干従業員満足をまず先に構築することが、上手く回っていく秘訣かと考えます。
もちろん、従業員を甘やかすこととは違いますし顧客を軽んじろということでもありません。
多くの上手くいっている企業、いまいちな企業の採用・育成シーン・経営状態などを見てきた肌感覚からそう考えます。。

しっかりとした教育と同時に若い社員を大事にするということです。
なのであえて「従業員満足=ESファースト」を提唱します。
まずは従業員満足から手をつけよ、ということです。

図で表すと下記の通りになります。

ES

従業員の満足を拡充することで、モチベーションが上がり生産性も上がります。

接客にも影響し、顧客満足が高まります。

当然、顧客から支持され業績が上がりブランド力もアップします。

ブランド力のある企業へは応募者が集まります。

良い人材が集まり、従業員満足を軸にさらに教育をしてモチベーションを高めて仕事にあたります。

良いスパイラルが回りだし、業績のアップと社外イメージアップ→採用力アップにつながります。

今の世の中に、悪い商品は見当たりません。どの商品もサービスも良いものであふれています。
まず粗悪な商品であれば業績の上げようがありません。
すぐに淘汰されます。

そのような状況の中で業績を上げ続けるためには、働いている人が活き活きと目を輝かせ自分の会社を信頼して働いているか、とても大切な要素です。

こういう状態を作るのが経営陣、トップの役割かと考えます。

最後までお読みいただきありがとうございます。

【執筆者】
株式会社ワーススタイルホーム
法人営業部 責任者 阿部素成

1969年東京生まれ。2014年、法人向け福利厚生サービスHOMEBASEの立ち上げに参画。当サービスの企画・運営・戦略立案・顧客開拓などに携わる。過去の職歴は教育関連のBtoC営業からスタート。その後管理職となりマネジメント、採用、人材育成、組織構築を経て、2007年不動産事業系の賃料適正コンサルティング会社の立ち上げに参画。東日本トップシェアまで成長したのを期にベンチャー企業向け採用コンサルティング事業にて独立。主に若年者向けの人材育成など「人と組織」にかかわった業務に携わる。今回、個人向け不動産事業は未知の領域だが「採用と住まい」の視点で事業を作りこみ業務拡大し現在に至る。